妹のことについて何も知らない

 ・最後に妹に会って会話をしたのはいつのことだったか。前にも書いたかもしれないが、父の三回忌の時だった、のではないかと思う。まったくあやふやっである。しかも覚えていたのは奥さんだ。

・葬儀を頼んだ住職に三回忌もお願いして、お経をあげてもらった後、どこかで話をしたことを、奥さんは強い印象とともに記憶していた。

・母に次いで父もなくなり、独身、一人暮らしの妹が頼れる親族は私とその家族のみ。めったに連絡もせず、没交渉だった妹を心配する言葉を奥さんがかけたところ、「私のことは放っておいて」と言われたことを、彼女は強く記憶していたのだ。

・「あれだけのことを言うんだったら、それなりの備えがあると思うじゃない?」。後始末をしながら、奥さんは何度もそう言った。

・放っておいたわけではないが、こちらから積極的に連絡を取らなかった私としては、なんとも言葉がなかった。妹ならいかにも言いそうだということがわかるのだ、家族だから。

・そのやり取り以降、直接会話することはなく、年に数回電話で話すぐらい。この1年は、電話をしてもつながらず、折り返しもなくなっていた。

・何か困れば電話ぐらいしてくるだろう。そう考えてかすかな心配をごまかしていた。だから、妹がどんな暮らしをしていなかったのか、どんな仕事をしていたのか、まったくつかんでいなかった。


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